コーディネート開始 その5

いよいよ最終同意だ。
ここを過ぎるともう後戻りはできない。
重要な決断の時。
でも僕の意思ははっきりしていた。どんなことがあっても突き進む。
この先には患者さんの未来があるんだと・・・。
気がかりは家族(両親)の同意だった。僕は一人息子だし、まだ独身だ。
万が一僕の身に何か起これば悲しむのは当然のことだと思う。
しかし、我が家はクリスチャンホームである。もう祈って守られることを願うしかない。神様は悪いようにはしないはずだ。

最終同意に必要なのが立会人。
ドナーである僕が連れてくることも可能だった。特に職に制約はなく友人でもできる。
僕は是非、立会人は僕の方で選定したかった。
僕がお願いしたのは、仕事関係先の社長さん。
住まいも僕の近くで、親元を離れてる僕を我が子のように面倒みてくれているホントにいい人だ。
仕事にも影響でてくるのがわかっていたので、このコーディネートを理解してもらう為にも是非お願いしたかった。
社長さんは快く引き受けてくれた。
しかし、自分で立会人を選定するということは自分で立会人さんの予定を都合つけなくてはいけない。大変なことだった。
自分の仕事、立会人さんの仕事の両方を合わせてコーディネートさんに話しなくてはいけない。僕の両親はもう定年していたので割と都合はつけやすかったのが救いだった。

最終同意面談日。
僕は両親を連れて病院へ向かった。
立会人を引き受けてくれた社長さんが何時もには見ない格好でちょっとビックリ!
立会人社長さんには一応実家の地元銘菓を用意しておいた。僕の都合でご足労願うのでお礼を兼ねて・・・。
面子が揃った。
コーディネーターさんを含め総計5名で主治医の先生の待つ部屋へ向かった。

狭い診療室はいっぱいになった。
そこでコーディネーターさんから今回の一連の説明をされた。立会人さん、両親の立場と役割等だ。
骨髄バンク目的から今回のコーディネートの概要まで細かく簡潔に話をされた。立会人さんは予め用意されたチェックシートみたいなのに話の内容にもれがないかチェックを入れていった。
一通り説明が終わると質疑応答である。
父がいっぱい質問してきた。
息子の体は大丈夫なのかとか・・・
僕は心のなかでゴメンネ・・・でもわかってねと祈り続けていた。

父と、コーディネーターさんと主治医の先生と約1時間に渡り話をしていた。
僕も聞かされていない父の過去の話まで出てきた。
そんなことがあったんだ・・・・と思いつつ。
ちゃんと周りがサポートしてくれるから安心してと・・・
父も誰かの助けを受けたことがあったようだ。
だから、反対はしないが、もし健康上に万が一不都合があったら中止されることだけ念を押して同意に応じてくれた。
お父さん・・・ありがとう。

この段階で最終同意できずにコーディネート終了するケースもままあるようだ。
でも家族の同意は意味深いものがあるので難しいね。
患者さんの命もそうだけど、健康な上に何故にそのようなリスクを背負わなくてはいけないんだと・・・と多くの人は思うことだろう。
でも患者さんはそれ以上に苦しんでるのだから僕は見過ごすことは出来ない・・・。
極論!僕がこのことで下半身不随になっても設計の仕事はできるじゃないか!って・・自分に言い聞かせていた。
(注意:骨髄採取で下半身不随のリスクはありません・・・当時はそういう世論が強かったので・・・)

無事最終同意を終えることが出来てほんとうに良かった。
立会人を引き受けてくれた社長さん本当にお疲れ様でした。
これから色々無理な都合いうかもしれないけど協力をお願いします・・という気持ちでいっぱいでした。
 

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